家づくり考
「ブックコーナーのある家」お引渡し 2010年12月17日
先週末に「ブックコーナーのある家」のお引渡しがありました。
ご趣味の大量の本を「何時でも好きな時」に「直ぐに出して読む」事ができるシェルフを具現化したお宅。
最初の提案から進化してきたシェルフは、左右の上段部を前後に収納できるようにしたスライドシェルフになりました。大工家具工事としては総全長5Mを超えるパーツの建て付けを考えた大変精度を要求される仕事でしたが、大工が良く頑張ってくれました。全部本で埋まった時は凄い重量になりますが、そうなっても変わりないと・・今は信じています(笑)

このような趣味やご家族の特徴を生かした家造りは、ご想像通りそう簡単ではありません。
家族が皆ストレスなく健康に過ごせる機能と空間を確保すると同時に、如何にプラスアルファを入れ込んでいけるかが鍵になります。
それには施主さんの本当の意味でのメリハリ、厳しく言ってしまうと「覚悟」がもてるかどうかに掛かっているのかもしれません。
それらの考え方の整理やこだわりの優先順位に時間を掛けて計画を練り、前進後退しながら造り上げて行きたいと考えます。迷っている方は是非、覚悟の前に勇気を持ってこだわりの家づくりに取り組んでくださいませ。
こう書いてしまうと荷が重く感じでしまいますかね?(笑)
まずは難しく考えずに、純粋に
「家に何があればよいのか、欲しいのか」
を考えて見ては如何でしょうか。なんか家づくりコラムのようになってしまいました。
雑誌のコラムの締め切りが直前だからでしょうか・・・無意識にプレッシャーを感じているかもしれません(苦笑)
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デッキの造り方ひとつ 2010年12月 7日
スタッフブログにあるように、鎌倉市材木座の「うみそばハウス」では足場が外れました。そして直ぐに2Fデッキを造るための部分足場を組み直して再び大工さんの出番のデッキ工事が行われ、完成しました。
湘南エリアでは2Fのウッドデッキが標準のように造られていますね。当社の物件でもご多分に洩れず殆ど施工しています。今回のデッキはシンプルそのものですが、ちょっと変わった構造になっています。そのポイントの一つがココ。これからマニアックな話に入りますので興味の無い方はお気を付けください(笑)

さて巾5Mを越える長いデッキですが、1Fにも大きなデッキが出来る事もあって途中に柱を建てたくありませんでした。壁から持ち出し型の鉄製フレームを出せば良いのですが、潮風がまともに当たるうみそばハウスではメッキでも直ぐにみすぼらしくなりそうだし庭やデッキから良く見えるので、下からの見上げもすっきりとしたかったのです。そこで上から吊り上げ形状になる詳まりを考えることにしました。
ですが風雨や紫外線にさらされるウッドデッキは材種での差はあるにせよいずれ寿命が来ます。
そこを考慮して構造とはいっさい切り離して、デッキ部を簡単に交換できる構造にしておくことが不可欠で、私はいつもその点を常に念頭においてデザインと施工性を画策しています。
ここでは棟木をわざと大きなサイズとして、そこから柱をボルトで吊り下げています。
これで柱は簡単に交換できるようになるのですが、
「受けている梁が重さに負けて割れたりしないの?」
と心配になった方・・素晴らしい。そこに気付くとはマニア候補生です(笑)
実はその対策に上棟で組み上げる際にこのような金物をセットしています。

この手の金物はいつも鍛冶屋さんで特注で作ってもらっているのですが、亜鉛めっきが一般的な中で当社ではこのような部分をいつもステンレス製にこだわっているので、地味な部分に結構費用が掛かっています(苦笑)
この見えない特殊金物のお陰でボルトに掛かるせん断荷重が木の梁に掛かることなく、安全にウッドデッキを吊り上げているのです。勿論狭い場所なのでボルトを外せる限界ライン等の寸法をミリ単位で詳細図面に起こして準備しています。
でもそれを実現するのは、面倒な加工をコツコツと造ってくれる鍛冶屋さんが居てこそなのです。
町場の工務店に町場の鍛冶屋がそのたびに・・それは非効率極まりないシステムですが、こんなモノづくりは理屈なく楽しいんですね。
そして試行錯誤したものがこのように綺麗に出来上がった時には、一人でニヤけています。
勿論、お客様が評価していただく事も重要で、単なるマスターベーションだけでは誰も幸せに成りません。なので現在はこのような私達の日々の蓄積をしっかりと血となり肉となるように準備を始めています。
それは勿論、合理的という言葉だけで終わらすつもりではなく、当社独自の個性を維持しながら、いわゆる木成りスタイルのスタンダード化をしようと言うことで、スパイスの効いた良質な住まいをリーズナブルに提供できるようになると考えています。
時間は掛かるかもしれませんが、マニア精神を忘れずに時代の流れもしっかりと見据えて行こうと思います。 おっと、久しぶりに真面目な話でしたね(苦笑)
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ケア付き高専賃 2010年11月19日
昨日は葉山の新築現場で朝から擁壁のベースコンクリート打ちでした。最終確認と受け入れ検査に立会い急いで事務所に戻り、着替えてSAREXのワークショップへ代々木まで。
前半は鎌田さんから「今後の工務店施策」についてレクチャーがありました。現在の住宅問題の整理からストック型住宅への対応、活発化しはじめた工務店による多様な地域活動の状況等、まさに日々の仕事の中で実感している内容もあり、「点から面へ」の施策を考えていく必要性を感じました。
後半は日経新聞編集委員の浅川澄一さんに高齢者住宅の現状や問題、そして展開性についてお話を伺いました。

尋常でない高齢化社会に向かっていることは頭では分かっていても、介護や施設の問題を目の前に突きつけられると背すじが寒くなります。ここ10年で劇的に変化した介護事情ではありますが、特老ホームの限界と弊害など、様々な問題に直面しています。
国もようやく現実に目を向け始め、ケア付きの高齢者専門賃貸住宅を始めとする推進事業が始まりました。これからは収容所のような介護施設から、介護先進国の北欧のスタイルのように死というものを受け止めて尊厳を大事に余生を暮らすことのできる環境を造ることが大切なキーワードになるべきと。
その実現に向けて提唱されるのが、適合高専賃住宅と小規模多機能介護施設の併用。郊外に大規模な施設を新たに造るのではなく、長く住み慣れた街の中で既存住宅を生かしたそのようなケア付き住宅の重要性を唱えておられました。
鎌田さんのお話にリンクしますが、地域においての工務店の役割というものがますます求められる時代になりそうです。良い家造りの為の情報収集は当然として、さらに社会構造・システムの変化にも敏感でなければいけません。物忘れが多くなった昨今ではありますが(苦笑)、考えることが増えていくばかり・・・しっかりとアンテナを張って行きたいと思います。
■■完成見学会のお知らせ■■
「ブックコーナーのある家」 in 横浜市金沢区
日時:11月28(日) 完全予約制
詳しくは 「見学会情報」 からどうぞ
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神奈川県産材 2010年10月15日
先日、厚木市七沢にある材木屋&プレカット工場の市川屋さんに伺いました。現在検討を進めている構造金物のAPS工法を加工できるプレカット現場を見学する為でしたが、市川屋さんは以前から気になっていて一度伺いたかった材木屋さんです。それは神奈川県産材を積極的に扱っているからで、県産材の近況もじっくりと話しを聞いて見たかったので一石二鳥ということで楽しみにしていました。
APS工法を取り扱っている登美代商事の園田社長とパイプ役となってくれたアトピッコハウスの後藤夫妻を途中で拾い、さらに現地でははなまる工務店仲間の新井建設の新井社長と合流。
無垢材でも使える金物工法も世の中にようやく幾つか登場してきましたが、在来工法により近く、また安心して使える工法が無いか探していたところに丁度お近づきになれたというわけです。
鎌倉から一時間半をかけて到着した七沢の綺麗な川のほとりには原木が置かれていたりして、とても穏やかな環境に深呼吸したくなるような良いところでした。市川屋さんは社長の下、男三兄弟がそれぞれ部門別に親子で頑張っている材木屋さんで、グレーティングマシーンという強度や含水率を量る機械もある併設のプレカット工場の他に、別敷地にある製材場には人工乾燥機も置かれています。

プレカット工場長である次男の直さんに工場内を全て案内してもらいました。
ちょうど工務店仲間のAPS用のプレカットをされているところを見ることが出来ました。特殊な加工なのでラインも通常の加工よりも時間が掛かるそうです。


嬉しかったのは工場のスタッフが若い方が多く、とても対応がしっかりとされていて感心するのと同時に、ちょっと嬉しくなりました。
ラインを見終わったあとに、神奈川県産材のストックを見せて頂きましたが、桧の柱・梁はなかなか良いです。天然乾燥モノと人工乾燥モノが並んでいましたが、こう見るとやはり木肌の色合いや生き節具合の違いか明らかですね。勿論天然乾燥材は、強度や含水率は大きなばらつきもあり、痩せや割れは相当な覚悟も必要になりますが、何を大事にされるかによって使い分ければ良いと思います。


工場の入り口には出荷待ちの材料のが積み上がっていました。特殊な工法を扱ってくれていますが、大手の問屋やメーカーのプレカットも扱っていますので取扱量は決して少なくありません。だから設備投資もしっかりと出来ている訳で良いバランスが取れているように思えます。

見学の後は事務所にて県産材を取り巻く環境や実状を談義しました。「消費県」と言われてきて材木の地産地消としては立ち遅れている我が神奈川ですが、決して近県のブランドにも負けない木はふんだんにあるわけですから、もっと活性化を高めて供給してもらえるように行政にも頑張ってもらいたいですね。その為には我々関係者ももっとお客様に周知してもらう努力をする必要がありますね。少し前までは「神奈川県材なんて大丈夫なの?それに随分と高いらしい・・・」というレッテルを貼られていました。石橋を叩いて渡る性分の私ですが、課題がありつつもこれならイケルと踏みました(笑)。
そして最後に市川屋さんの材料を使って建てられた近くのお蕎麦屋さんで昼食を頂きました。
七沢の綺麗な空気と水の恩恵を受けているからでしょうか、とても美味しく頂きました。
工法と材料と費用のそれらを色々やり取りをさせていただいて具体的な展開をじっくりと考えたいと思います。
■■構造見学会のお知らせ■■
「材木座の海そばハウス」 in 鎌倉市材木座
長期優良住宅+フラット35S(20年金利引下げタイプ)仕様
日時:10月24(日) 完全予約制 詳しくは 「見学会情報」 からどうぞ
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中村好文さんの魅力 2010年9月 3日
昨日はお誘いを受けて「もくよう連」さんの勉強会に参加しました。
有名建築家の中村好文さんが事前に出してあった課題をメンバー工務店が課題提出し、プレゼンするという内容。中村さんは建築界でもファンが多くて有名な方で、私も何冊か持っています。
「中村さんが来るよ」と言ったらスタッフの毛利と新人の板垣の二人がついてきました(笑)
プレゼンの後に参加者全員で投票・講評したのですが、皆さん日々の忙しい中で時間を造るのは大変だったと思います。私は課題をやっていないので講評する一方で恐縮する立場でした(苦笑)。
やはり日々実務に揉まれる工務店の設計は学生の様な夢の提案は少なく、まさに実務的な案が多かったように思えます。勿論優秀な工務店さん達ですので、個性的な面白い計画ばかりでした。もし自分が出したとしたら地味な計画になるのだろうなと思って見ていました。学生の頃は自由な発想を楽しんでいたのに、造り手として一日一日実務を重ねていくと気付かないうちに保守的になってしまいます。それは必然だし、決して悪いことではないのですが、これからの工務店のスタイルに不可欠な「設計力・提案力」を向上するためには「住宅の設計を楽しむ」ことを大切にしようと改めて決心しました。

投票の結果で、中村賞というべきか、中村さんが選んだ品をオリジナルの風呂敷に包んで表彰して終了。それにしてもこんなに面白い人とは思わなかった。人間的な魅力に惹かれる人も多いだろうな。そして自然とサイン会が始まりました(笑)
うちの二人も早速、持ってきた中村さんの本を出して書いていただきました。

その後、私は懇親会で夜景の綺麗な高層階へ、二次会は7,8人で近くのホテルの高級ラウンジにと・・・似合わない場所に行きましたが(笑)もくよう連の皆さんや中村さんとも長い時間お話出来て色々ヒントも頂きました。表に出ると都心の熱帯夜・・帰り道は中村さんと二人、汐留の高層ビル風に吹かれて帰りました。
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